多発する苗の受注トラブルを、一貫したデータシステムで解決


〜新おたる農業協同組合様〜

◆アナログの受注管理でトラブルが多発

 

新おたる農業協同組合では、毎年、早春から春にかけて12棟の大型ビニールハウスで育苗を行い、農家へ出荷している。

3年前まで、約200件の農家からの苗の受注を、異なる部署でバラバラに電話やFAXや直接受け付け、紙に書いて受け渡しをしていた。そのため連絡ミス・伝達ミスなどのトラブルが多発し、納品遅延や賠償問題が生じる事故まで発生。

また育苗を行っていたベテラン職員は実務に追われて事務作業に手が回らず、育苗計画は職員の頭の中、代わりがきかない状況だった。

齋藤部長が「現場の人間にやれやれと言っても、育苗作業をしながらやれることには限度がある」と、どうしたら解決できるのか悩んでいた。縁があったITコーディネータの久蔵氏に相談したところ「できます」とのことでシステム構築を依頼することになった。

 


 ◆育苗シーズンの流れと共に、一貫したシステムを構築

 

依頼したのが11月。育苗事業は1月からスタートするので、2ヶ月で実作業をスタートできるよう受注システムを実装。始めは受注管理から構築し、育苗の流れと同時並行でシステム作りを進めた。久蔵氏は、斉藤部長の「こういうものがほしい」という要望を都度、丁寧に聞き取りしながら設計していった。

 

その結果、各部署でバラバラに受付し手書きしていた受注業務は窓口を一本化し、受注直後にデータ入力する方式に転換。受注データは育苗の現場と共有したうえ、播種から苗の生育状況、出荷まで、同じデータベースで管理。最終的には、受注から売上までを一貫して把握できるようシステムを確立した。

各部署でデータの共有ができるようになり、受注ミス・伝達ミスなどのトラブルを激減することができた。

 

◆現場の職員たちにとって使いやすい配慮

 

久蔵氏が気を配ったのが、職員たちにとって仕事のやり方がガラリと変わることによるストレス。職員が使い慣れているエクセルをベースに受注の入力画面をつくるなど、導入のハードルを下げるよう工夫した。

 

また職員の事務作業の負担が軽減されたことで、職員が苗の管理、温度管理に集中できるようになり、担当者が代わっても育苗を担当できるほど育苗状況を可視化することにも成功。今後データが蓄積されていけば「今年はあの農家さんからの注文がまだ来ていない」等の現状把握もしやすくなる。

 

アナログで管理していた受注情報をデータ化・可視化したことで、トラブルを激減できただけでなく、担当者任せだった仕事のやり方を誰でも引き継げる形に整えたことは、今後にとっても大きな成果といえる。